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    治せない病リターンズ

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       北陸は天気予報が白と青だけの毎日が続く日々ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。久々のエントリーでございます。今日は読書記録を2本。

       1冊目は、日本が誇る分子生物界のロマンチスト、福岡伸一先生の『世界は分けてもわからない』。相変わらずの読みやすさです。生物学の最先端は、組織からタンパク質、分子レベルの研究の世界なのですが、細かく分割されたものを見ていく研究者たちが陥る罠とは…、というのがテーマです。多少途中に、うーん、何が言いたいんだか良くわかんないなぁ、俺の頭がついて行けないだけなのかなぁ、というところもありますが、最終章の怒涛の展開は面目躍如、といったところでしょうか。海堂尊ばりの展開で、先へ進まずに入られません。途中でちょっと結末が予感できたりする人は、生物学をよく勉強されている方かしらと。それにしてもMAPキナーゼキナーゼキナーゼって、ネーミングを完全に放棄してますよね。分かりやすくていいんですが。
       科学読み物としてはかなり秀逸です。91点!

       2冊目は海堂尊の文庫落ち最新刊『ブラックペアン1988』の上下巻。チームバチスタの序章というか、スピンオフというか、バチスタシリーズの脇役たちが主人公です。年代がタイトルどおり1988年と、ふた昔くらいなのですが、当時の外科の医局の空気が少し分かる気がします。まあ、現在の空気もよく知りませんが。今回は海堂流の問題提起もの、という感じは薄く、研修医世良とその周囲の熱い外科医たちの戦いが、いつも通りのスイスイ読める文体で書かれております。
       ただ、いくらか解剖学の知識がなくては、左胃動脈が腹大動脈から直接分岐していて云々という話なんかはイメージしづらいですし(私はギリギリなんとか可能でした)、手術中の描写は実際に手術をやったり見たりした人じゃないと、いまひとつ興奮できないという難点はあります。丁々発止の言葉のやり取りで盛り上げるバチスタシリーズの分かりやすさに比べると、難易度は高めかもしれません。まあそのあたりを差し引いても、十分おもしろかったです。より高みを目指すことで、自分の足元がゆっくりと崩れていくという矛盾。87点で。


       今週は週明けに内分泌の試験があるので、下宿にこもって家族のもとには帰っていないのですが、勉強と同等の時間、本を読んじまったという事実は嫁さんには内緒にしておきます。

       あ、『ブラック…』が文庫落ち最新刊と思っていたら、『イノセントゲリラ』が昨日文庫落ちしてる!いや、買わねぇぞ、試験終わるまでは。買わない、買わないんだ…。

      slimboy-fat * 読書 * 23:48 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

      My book of the year '09

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         今年も無事大みそかにこぎ着けました。そして大晦日に発表といえば、年末ジャンボ宝くじの当選番号と並び、My book of the yearでございます。まあ、私以外誰も楽しみにはしてないでしょうが。
         さて、今年は大豊作、というか自分好みの作品ばかり読んでしまったもので、高得点の作品がたくさんあるものですから、5作品を上位としてランクしました。

        殿堂入り 飯島和一   『出星前夜』         ☆☆(採点不能)

        第1位   飯島和一   『黄金旅風』          96点

        同 上   古川日出男  『ベルカ、吠えないのか』 96点

        第2位   宇月原清明  『安徳天皇漂海記』     95点

        第3位   飯島和一   『雷電本記』          94点


         今年は飯嶋和一先生の年でしたな。以上。


         さて、私の人生の聖典である浅田次郎大先生の不朽の名作『蒼穹の昴』がNHKのBSハイビジョンで始まります。原作の魅力にどこまで迫れるか、楽しみです。

         皆様、良いお年を。

        slimboy-fat * 読書 * 15:22 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

        エンターテイメント

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           薬理学の再試がひたひたと迫っておりますが、まあ進捗のほどはお気になさらずに。

           早く寝ようと思いながら、ここ2週間ほど血道をあげて読んでしまいました、井沢元彦『逆説の日本史』1,2巻。そもそもなんで高校生のときにチラッと読んだだけのシリーズを今さらながら再読しているかと申しますと、先に読んだ『安徳天皇漂海記』で古事記、日本書紀のお話が出てきまして、そのついでに思い出した「はて、よく言う天孫降臨ってば、なんで孫が降臨したんだ?息子が来るのが普通じゃないか?そしたら天子降臨だよな」という疑問の答えがこのシリーズ序盤にあった気がしたからです。 答え、ちゃんとありましたよ。満足しました。

           なかなかのボリュームですが、思わず読み進めてしまう理由は、歴史を検証するというスタンスを取りながら、独自の視点(というよりは歴史学界が見落としたor無視している考え方)を使って、教科書には書かれていない事実を掘り起こすという作業を作家としての筆力で素晴らしいエンターテイメントに仕上げているからだと思います。
           お陰で妙に古代の天皇のことについて詳しくなりました。特に壬申の乱の付近。

           続きの巻も読みたいんですが、他に読みたい本もあり、時間は無し…。再読ですので例により得点は無しで。

          slimboy-fat * 読書 * 23:58 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

          鶴見で待ってる

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             ああ、オレはやっぱりバカなのだな。再認識したらすんごく楽になりました。

             はい、皆さん下に表示されてるエントリーの時間を見てくださーい。こんな時間まで勉強してたわけじゃないんですよ。やっちゃいけないと思ってるのにまたやっちゃったんですよ。3時間ノンストップ読書。そして今日は小児の試験です。

             そんなにしてまで読み通してしまったのが三浦しおん『強く風が吹いている』。今にも崩落しそうな学生寮に住む10人の大学生が、出場人数ギリギリで、しかも半数以上が陸上の素人なのに、4月から始めてお正月にある箱根駅伝に出場する!というお話です。

             嫁さんに比べたら著者の作品は読んでないですし、実はこの前に読んだのはデビュー作。そのせいかもしれませんが、最初に出た感想は「めちゃくちゃうまくなったな!」。直木賞作家に対してなんとも無礼な話ですが、デビュー作を読んで、嫁さんがなんでこんなに高く評価するのかよく分からなかったのが正直なところでした。
             執筆に6年を要したというのもすごいですが、組立てとか表現とか、技術的な面ですごくうまいな、と感じました。だから止まらないのです。それでいて読みやすい。だからスイスイ読んでしまいます。

             嫁さんは自称元腐女子で、お友達には現役のコスプレイヤーとか同人作家の人がいたりして、本人はその周辺で遊んでると申しております。その嫁さんをして、「腐女子でありながらちゃんとした小説を書ける作家」というポジションを先に取られた、と言わしめたのが著者三浦氏。嫁さんとしては、仕事と育児でそれどころじゃねぇよ!といったところでしょうが、1キロのラップが数秒遅れることで、ゴールしたときにはどうしようもない差になってる、なんてことが頭をよぎりました。

             文庫ですし、少し長いですが楽に読めます。そんでもってけっこう引き込まれます。多少物事が快調に進みすぎ?とも思えますが、それを差し引いてもおもしろかったです。89点。走ることを愛する全てのランナーへ!そして腹の周りに脂でできた浮き輪を巻いてる、走る事を忘れてしまった人たちへ!!

            slimboy-fat * 読書 * 05:25 * comments(2) * trackbacks(0) * - -

            フェチすぎる?

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               マンガの話を読書のカテゴリにするのはどうかと思いますが。
               無性にマンガが読みたくなり、でもたくさん続いてるやつは集めるのが大変だし、まだ読んだことないのがいいなぁ、と思って探したら、丁度いいのがありました。

               一つ目は『高校球児ザワさん』。少し前に話題になってたみたいなんですが、今回買って読んでみて実感。こりゃフェティッシュだわ。たぶん女子が読んでも「なにが?」と思うかも。いわゆる日常生活を描いただけのダラダラマンガのどの辺がおもしろいのか分からなかったのですが、これを読んで少し分かった気がしました。制服の女子がバッティンググローブはめて左打席にすっと構えたら、そりゃほれるぜ。たぶんこの辺がフェティッシュ。

               二つ目は『麻酔科医ハナ』。人員不足が著しい麻酔科の分野のお話です。医療の現場での麻酔科医の立場とか、あんまりよく知られていない(はずの)麻酔科医のお仕事の詳細とかが描かれています。ちなみに主人公は巨乳です。しかしそこが見所ではありません(見てもいいけど)。プロポフォールとかベクロニウムとか、撃沈した薬理学のリベンジにきっと役に立ちます。立つはずです。

               マンガばっかりレジに持っていくのもなんなので、ちょっと古いのですが井沢元彦の『逆説の日本史』の文庫版1・2巻も購入。実家の親父の本棚にハードカバーが揃ってて、高校生の頃にちらほら読んで、おもしれえなこれ、これが歴史の教科書だったらいいのにな、と世界史選択なのに思っていました。先日読了した『安徳天皇漂海記』を読みながら、直接関係ないのですが、「はて、高天原に降り立ったのはなんで『天孫』で、『天子』じゃないんだっけ?」と思い、たしかこの本に書いてあったはずだと。さて、その記述はほんとにこのシリーズに載ってるのか?


               医者になるための勉強とは離れたところで情熱的にやってる、静かな秋の夜でございます。 

              slimboy-fat * 読書 * 23:44 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

              drifters

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                 宇月原清明の『安徳天皇漂海記』を読了しました。宇月原さんの作品はこれが最初でしたが、いやぁ、すげえすげえ。壇ノ浦の戦いに敗れ、わずか8歳で入水した安徳天皇の魂をめぐり、第一部では詩人王源実朝、第二部ではモンゴルでマルコポーロが活躍します。
                 個人的には第一部の源実朝がすごく好きです。怒りにはやさしさで、恨みには祈りで、相手が望むなら己の命をもって、静かに戦う姿が印象に残ります。

                 全体的には第一部で盛り上げまくって、第二部でちょっとオチにむけて着地点を探しちゃったかな、という感じがします。しかしきちんと締めるためには第二部は不可欠ですし、これ以外の方法は考えにくいということを考えると、やっぱり仕方ないのかなとも思います。もしかしたら直木賞にはずれちゃったのはこのへんが理由なのかしら。
                 という不満点を除けば、資料を徹底的に読み込み、精査し、最高の創造力で別々に紡がれた糸から壮大な物語を織り上げる手腕はお見事です。最後の最後で日本書紀、古事記に戻るあたりがニクいですな。
                 好きな作家さんの一人に内定です。もう少し他の作品も読んでみたいです。はい、95点。歴史ものが好きな人は必読。日本史選択者も読むべし。

                slimboy-fat * 読書 * 23:39 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                きみはオートフィクション

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                   タイトル、さっぱり意味が分かりませんな。今日は書評を二つ。

                   一つ目は中島らも『君はフィクション』。らもさんの最後の作品ということで、よく言えば遺稿集、悪く言えば寄せ集めの一冊。その中でも出色は「DECO−CHIN」。これもタイトルだけじゃさっぱり内容が分からないのですが、読み終わった瞬間に、あぁそういうことかい…と納得できる、らも氏得意の破壊的グロテスク作品です。内容はともかく、一番インパクトがありました。最後の短編集ということですが、過去の作品にもっともっといいものがあるわけで、どうしても読まなくてはならないかといわれると…。81点。

                   二つ目は金原ひとみ『オートフィクション』。なんだかんだでりさたんの作品は一つも読まないまま、金原嬢の作品はほとんど読んでいます。特に好みじゃないんだけど、不思議とパワーがあって、読まされてしまうというか、物書きとしての力に引き寄せられるというか。今回の作品はこれまでの作品とは違ってバイオレンス色は薄くなりましたが、おいおいどこに行っちゃうんだよ、いいのかよそれで!?という主人公の精神的不安定さはそのままです。よって読みながら自分のことでもないのに不安になっちゃいます。
                   結局は読んだ後に、あぁあなんだったんだべ、これは、となってしまうのですが、これまでに比べたら読後感の苦味は薄くなってます。セックス、バイオレンス、グロテスクを彼女の真髄とするのは軽率かも知れませんが、仮にそう考えるのであればこれは少し外角に外れた作品です。ともかく読んでしまう、この力は十分評価すべきでしょう。83点。


                   最近書評にあらすじを書かなくなっちゃいました。文庫本の裏表紙に書いてある程度のあらすじだったらリンク先で読んでもらえばいいし、『独断流読書必勝法』並の内容ならともかく、素人読者の感想文ですからね。

                  slimboy-fat * 読書 * 23:20 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                  意志あるものは荒野へ向かう

                  0

                     あ〜ぁ。またやっちゃった。ナイトキャップ代わりに1週間くらいもつかな、と思って購入した短編集を2時間半で読了。西川美和『きのうの神さま』でございます。第141回直木賞ノミネート作品でございます。

                     5編の短編小説からなる本ですが、4編が医療に関係するお話です。映画『ディア・ドクター』のサイドストーリーという位置づけとのことですが、いやぁ、この人は小説も上手です。文体としてはクセがなく、読みやすいのに、彼女独特の目付けの位置が活かされた繊細な描写が印象的です。
                     登場人物は映画に出てくる人たちが中心で、多分映画では描かれることのない、登場人物たちの背景が素敵な短編小説として収められてます。個人的には看護師大竹が主人公の『ノミの愛情』が好きです。

                     映画、観に行きたいんですが、住んでるところではインディ系の映画館で8月15日以降に上映だそうです。それまで待つか、越境して現在上映中の隣県にまで足を伸ばすか…。


                     いや、週明けに迫る病理学をやっつけて、たて続けに来る感染予防学を叩き落してから考えろ!医療に近いという贔屓目もあるかもしれませんが、92点。好きな本です。

                    slimboy-fat * 読書 * 03:18 * comments(2) * trackbacks(0) * - -

                    夏にも見えるんだ

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                       多少のお涙頂戴なお話にはちっとも心を動かされない、鉄の心を持つ女、さとぽんから絵本版『真夏のオリオン』を借りました。先日一緒にお酒を飲む機会があって、最近の映画で観たいものは?という話題で、話が合いました縁でございます。
                       文章は福井晴敏。こども向けに易しく優しく書いてあります。それでもきちんと伝えたいことは伝わります。絵もやわらかな印象で、暗く過酷な状況を描く文章をやさしく包み、最悪の結末を予感させる展開でも、どこかに希望を感じさせます。

                       40ページに満たない分量ですので、登場人物を深く掘り下げて描くことはありませんが、ひとりひとりの生きたいと必死に戦う姿が行間から読めてしまい、ぐぐっときます。戦争というバックグラウンドのうえで、憎みあうことのくだらなさ。

                       また今年も夏が来るよ。80点。

                      slimboy-fat * 読書 * 23:09 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                      仰ぎ見た夜空に輝くもの

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                         やっちまった。やるまいと決めておったのに…。

                         24時過ぎに読み始めた飯嶋和一『出星前夜』を、5時過ぎに読了。540ページのうち、前日までに読んだ残りの約半分をほぼノンストップで一気読みしてしまいました。

                         内容は、島原の乱を描いたものです。私たちのほとんどは、「島原の乱」や「天草四郎」を歴史の教科書でわずか数行、しかも単なるテストで得点するためだけの用語としてしか教えられませんでしたし、それ以上を求めることはありません。この本で描かれるのは、愚かな支配層、絶望の淵に立たされた民衆と、彼らを必ず死に至ると分かっているはずの武装蜂起に向かわせた背景です。
                         この作品の前章ともいえる『黄金旅風』で登場した末次平左衛門や、外崎恵舟が登場し、その傑物ぶりを発揮しますが、歴史の教科書通り、立ち上がった民衆の行き着く先は破滅です。そうだと分かっていたとしても、そうせざるを得なかった、むしろ最期を戦いの中で迎えることを望んだ彼らの姿。そこには確かに光がありました。

                         読んでいて最悪のバッドエンドが待ち構えていると分かっていても、止めることはできませんでした。加えて、読んでいて終わって欲しくない気持ちと、早く終わってほしいという気持ちが半分ずつ、鎮圧部隊を蹴散らす蜂起軍の姿に快哉を叫びながらも、切ない気持ちが消えないという不思議な感覚を持ちながら読んだ本は、これまでにありませんでした。

                         飯嶋氏の丹念な筆による文章は圧倒的です。これまでの作品と同様、綿密な取材に裏付けられた詳細な描写と、それによって文字から浮かび上がる空気。私の心を捉えて離しません。彼の筆には、飯嶋氏本人の魂だけでなく、歴史の中でほとんど顧みられることのない人々の魂が乗り移っているのかもしれません。


                         もはや採点するなどおこがましい。最高です。

                        slimboy-fat * 読書 * 05:26 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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