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    rainbow

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       穏やかに晴れた日だった。前日に受けた就職試験の結果の電話を午前中に受け、昼食は近くのショッピングセンターの中にあるお気に入りのパン屋で買うことにし、家族3人で買い物に出かけた。

       買い物から戻って昼食をすませ、夕方にやってくる嫁さんの友達を迎える準備を整える。洗濯物が柔らかな日差しを浴び、風に揺れている。いつもと大して変わらない、のんびりとした休日。たった一つのことを除いては。仕事を辞めてから3年半、それまでの全部が、今日終わる。合格発表から数時間後、パソコンを起動させ、大学のサイトを見る。落胆に慣れてしまったせいか、以前のような緊張感は無い。それでも儀式のように、手元に受験票を置き、ディスプレイに並ぶ数字のなかから自分を表わす番号を探す。


       ある。間違いない。3回も確認した。本当にある。これまで手に入らず、そのためだけにたくさんのものを捨てて、たくさんの人に心配と迷惑をかけ、それでも、ずっと欲しくて手を伸ばし続けてたものが、やっと自分のものになった。ごめん、洗濯物を取り込むの、もう少し待って…。

       日が暮れかけた頃に速達で合格通知書が届き、夕飯前に嫁さんの友達も帰り、幾分気持ちも落ち着いたところで、遠く離れた実家に電話をした。表向きは前の年に受験は終わったことになっていたが、突然の報告に、父は笑って、「そんなことだろうと思ってた。お前があそこで終わりにするとは思えなかったからな。なにせ大変なのはこれからだ。父親としても学生としても、目の前のことを精一杯やれ。後のことは心配すんな。なんでも、なんとかしてやる」

       電話を切った瞬間、声を上げて泣いた。親父は金がなくて大学にいけなかった。でもオレ、2回も大学にいける。氷河期のどん底って言われてた時期に就職できた会社も、3年半で辞めちゃった。その間に貯めた、学費のためのお金もぐずぐずしてる間にほとんど無くなっちゃった。でも親父は笑いながら、どうしてもやりたいんだろ、やれよ、心配すんな、って。そんなことが全部ごちゃ混ぜになって、眼と鼻と口から吹き出した。

       涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を修復するべく、ティッシュに手を伸ばすと、それまで渋っていた嫁さんが言った。「行きなよ。これでだめって言ったら、あんたに一生言われ続けるに違いないもん。あたし、それやだし」
       眼と鼻の頭が赤いこと以外は通常の顔に戻った。
       ありがと。これまで以上にお世話かけます。晩ご飯、今日買ってきた豚肉、生姜焼きにしよう。味噌汁は、えのきがいいな。


       あれから、もう3年になります。

      slimboy-fat * 再受験 * 17:59 * comments(2) * trackbacks(0) * - -

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        コメント

        私も先日長年の願いが叶って合格通知を手に入れました。あまりにも気持ちが重なって、涙がでました。これから仕事に向かう電車の中で。
        私も何年経ってもこの気持ちを忘れずに頑張っていこうと思います。ありがとうございました。
        それでは仕事に行ってきます。
        Comment by 再受験生 @ 2010/03/23 8:06 AM
        合格おめでとうございます!
        お仕事をされながらの合格、頭が下がります…。

        読んでいただけるだけでもありがたいのに、お忙しい中コメントまでいただける事は、本当にいろいろと励みになります。

        お仕事、がんばって下さい。
        Comment by gjp2 @ 2010/03/23 1:10 PM
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